がん治療の最新情報を発信します

がん治療の今

がん診断後は心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすい?

Twitterでシェア Facebookでシェア
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
NEW公開日:2018.10.19

がんと診断されてから6カ月間は、心筋梗塞や脳梗塞を発症する可能性が高いという研究結果が報告されました。診断後のがん患者さんでは同年代のがんのない人に比べて、これらの病気を発症する確率が約2倍であることが明らかになったということです。

がん診断後半年間の発症率は4.7%

この研究では、全米のがん患者さんと公的医療保険のデータベースから、2002~2011年に主要ながん(乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫のいずれか)と新たに診断された患者さん27万9,719人を特定。この人たちと、年齢や性別、他にかかっている病気などの条件が同じでがんになっていない人を1対1で組み合わせた上で、2012年まで追跡調査を行いました。

その結果、6カ月以内に心筋梗塞や脳梗塞を発症する人の割合は、がんではない人の2.2%に対し、診断後のがん患者さんでは4.7%と約2倍であることが分かりました。さらに心筋梗塞と脳梗塞に分けて検討しても、6カ月以内の心筋梗塞の発症率はがんではない人とがん患者さんでそれぞれ0.7%、2.0%で、脳梗塞の発症率はそれぞれ1.6%、3.0%でした。

なお、こうした心筋梗塞や脳梗塞の危険性はがんの種類や進行度によって異なり、特に進行した肺がんや胃がん、膵臓がんでは高いことも分かりました。

対応方法は今後の検討課題

なぜ、がんの診断後に心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすいのでしょうか。原因は不明ですが、今回の研究を行った米ワイルコーネル・メディスンの研究者らは(1)がん患者さんではがん細胞の働きなどによって血が固まりやすい(凝固亢進)状態になりやすい、(2)がん化学療法で血栓(血管内にできる血のかたまり)の危険性が高まることがある――などによる可能性を挙げています。

一般的に、心筋梗塞や脳梗塞の発症予防には抗血栓薬やスタチンといった薬が使用されており、がん患者さんにも有益な可能性はあります。しかし、研究者らは「がん患者さんは治療の影響で出血しやすい状態である場合が多いため、こうした薬を安全に使用できるのかは厳密に検証していく必要があります」としています。

今回の結果について循環器の専門家らは「がんは体にさまざまな影響を及ぼします。凝固亢進もその一つで、そう考えれば当然の結果」としつつ、抗血栓薬やスタチンの使用には慎重な姿勢を示しています。ある循環器医は「患者さんごとにリスクとベネフィットを評価しなければならない」と強調。他の心臓カテーテル医も「このように複雑な症状を抱える患者さんには、循環器専門医とがん専門医が連携して治療に当たるべきでしょう」と話しています。(HealthDay News 2017年8月15日)

Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.

※本コーナーの情報は、AJ Advisers LLCヘルスデージャパン提供の情報を元に掲載しており、著作権法により保護されております。個人的な利用以外の目的に使用することなどは禁止されていますのでご注意ください。