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特定の遺伝子異常のあるがんに有望な治療薬を開発

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提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
公開日:2017.11.15

「TRK融合遺伝子」を標的として働く新しいがん治療薬larotrectinib(国内未承認)の臨床試験の結果が、米国で6月に開催されたがん治療の専門学会で発表されました。
この遺伝子の異常が認められるがん患者さんでは、年齢やがんの種類にかかわらず、この薬の効果が期待できる可能性があります。

ただ、この遺伝子の異常のある患者さんは極めて少ないため、全てのがんの「万能薬」と呼べるものではないとのこと。
それでも、研究を率いた米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのDavid Hyman氏は「TRK融合遺伝子を持つがん患者さんに、これほど効く治療法はこれまでありませんでした」と話しています。

TRK融合遺伝子の異常がある患者さんの割合は、大腸がんや乳がん、肺がんなどの一般的ながんでは0.5~1%程度。
ただ、唾液腺がんや小児の乳がん、乳児の肉腫など、特定のまれながんではよくみられることが知られています。

17種類のがんを対象とした試験

今回報告されたのは、TRK融合遺伝子の異常がある大腸がん、甲状腺がん、メラノーマ、肺がん、乳がん、膵がん、肉腫など17種類のがん患者さん55人(うち12人は小児)を対象とした臨床試験の中間解析の結果です。

報告によると、治療奏効率(30%以上のがん退縮が認められた割合)は76%にも達し、こうした効果は最長で25カ月間続くことが確認されました。
なお、現在も50人の患者さんで追跡調査が続けられているため、この期間はさらに延びる可能性もあります。

治療の安全性の評価では、有害事象として疲労とめまいが最もよくみられましたが、患者さんの生活の質(QOL)は良好に保たれていたとのことです。

今回の臨床試験には関与していない米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のWilliam Oh氏は、「新たな治療薬で奏効率が76%に達したという報告に心を躍らせています。
しかも、治療の効果が1年以上続いており、これは悪性度の高い一部のがんの治療において有望な結果といえます」とコメントしています。

特定の遺伝子異常に対応する薬の開発進む

がんの種類に関係なく、特定の遺伝子異常に対応する治療薬としては、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が先行しています。
同薬は5月24日、米食品医薬品局(FDA)により共通のバイオマーカーを持つ全ての固形がんの治療薬として承認されました。

Larotrectinibについても、FDAは昨年、画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)に指定。 承認審査の迅速化を図っているということです。(HealthDay News 2017年6月3日)

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