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膵がんの早期発見につながる血液検査を開発

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提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
公開日:2017.10.11

膵がんの早期診断につながる新たな血液検査を開発したと、アメリカのマサチューセッツ総合病院のCesar Castro氏らの研究グループが報告しました。
この新しい検査法は従来の検査法に比べて検出力が高く、正確である可能性が期待されています。

早期発見の難しいがん

一部のがんは、そのがんに特徴的な物質を産生することが知られています。
その中でも血液などから検出できる物質は「腫瘍マーカー」としてがんの検査に使われており、膵がんの場合はCA19-9というマーカーが有名です。

しかし、CA19-9はがんが進行するまで増加しないことが多く、一方でがんになっていなくても、膵臓の炎症や胆管の閉塞があると増加することがあります。
そのため、「このマーカーはがん患者さんの治療中の経過をみる場合は役に立つのですが、がんを発見する方法としては極めて不完全なものでした」とCastro氏は説明します。

こうした事情もあり、膵がんは早期発見が難しいがんとして知られています。
黄疸などの症状が現れる頃にはがんが進行していることが多く、診断から5年後に生存している患者さんはわずか8%です。
そこでCastro氏らは、膵がんの8割以上を占める膵管腺がん(膵液を運ぶ管にできるがん)を対象として、新しい腫瘍マーカーを探す研究を行うことにしました。

新しい腫瘍マーカーを発見

今回の研究では、多数のタンパク質を一度に測定できる最新の分析法を用いて、膵管腺がん患者さんの血液を調べました。
患者さんの細胞から血液中に放出される細胞外小胞(EV)という構造体を分析したところ、5種類の特徴的なタンパク質を持つEVが、膵管腺がんの優れた腫瘍マーカーとなることが明らかになりました。

さらに、膵管腺がんの患者さんとがん以外の病気(膵炎など)の患者さん43人の血液検体を用いて、この腫瘍マーカーによる診断の正確性を検証したところ、感度(がん患者さんをがんだと判定する確率)は86%、特異度(がんではない患者さんをがんではないと判定する確率)は81%だと分かりました。

今後の検証に期待

あるニューヨーク市のがん専門医は「今のところ膵がんには検診のすべがないため、乳がんのマンモグラフィや大腸がんの内視鏡検査のような検査法の開発が望まれています」とコメント。
ただ、今回の結果については「CA19-9に比べれば素晴らしいものだと思いますが、その正確性の評価にはさらに大規模な研究が必要でしょう」と慎重な姿勢を示しています。

研究グループによると、同検査の一部は自動化されているため、検査にかかる時間は約10分、費用は1人60ドル程度。
「今後は、検診での実用性を明らかにしていきたい」と意欲を示しています。(HealthDay News 2017年5月24日)

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